
今年もEndless SHOCKの制作発表が行われましたね。2023年は「Endless SHOCK」本編と「Endeless SHOCK -Eternal-」の2作同時上映ということで、頭がこんがらがる気しかしません…。
そこで今回は、KinKiKidsのオタクであり、SHOCKのオタクでもある私が、Endless SHOCKストーリーのおさらいと、これまでに光一さんから語られてきたEndless SHOCKの裏設定を、初心者さんにも分かりやすくイチからご紹介いたします!
日本一チケットの取れないと言われる貴重なチケットを入手して、せっかく観劇するなら事前情報をしっかり入れてより楽しみたいという方も、事前情報なしで観劇したけど「あれってどういうこと?」という疑問が浮かんだ方にも役立つ内容となっておりますので、ぜひ最後までお読みください。
ここからめちゃくちゃネタバレしますので、もしも、まだSHOCKシリーズを観劇されたことがないという方はご注意ください。
EndlessSHOCK概要
まずは、Endless SHOCK本編とEternalのあらすじを時系列を追って整理してみましょう。
Endless SHOCK本編あらすじ
ブロードウェイの大劇場を夢見て若者たちがひしめき合うオフ・ブロードウェイ。そのうちの1つにオーナーの劇場があります。そこには、若きスターコウイチ、そのライバル(ショウリ/ヒロミツ)、ヒロインのリカを擁するカンパニーがいます。彼らが大劇場への挑戦、そこでの衝突、「走り続ける意味」を問い、成長していくという物語です。
Endless SHOCK本編の時系列整理

Endless SHOCK本編では、大きく4つの時間軸があります。
- 一幕
- オフ・ブロードウェイ
- オン・ブロードウェイ(インペリアル・ガーデンシアター)
- 二幕
- フラッシュ(願望)
- 大桜(3年後)
一幕
一幕ではオフ・ブロードウェイにあるオーナーの劇場から、オン・ブロードウェイにある大劇場へと挑戦するまでの物語。
それから半年後、オン・ブロードウェイの大劇場「インペリアル・ガーデンシアター」での公演中に、コウイチとライバル役の間での軋轢が生じ、不幸な事故が起こってしまいます。
Eternalでは、本編オフ・ブロードウェイにいた頃を「カンパニーが1番良い状態だった」と評しています。仲間と共に夢を追いかけた日々は、カンパニーにとって宝物だったのかもしれませんね。
二幕
二幕では、ライバル役の見ている悪夢の中から始まります。「今日もまた、夢を見た。」と自分の愚行を激しく後悔し、精神的に追い詰められながらも、ライバル役は事故のあった劇場に今も立ち続けているのです。
その後、幻影となったコウイチがカンパニーに舞い戻り、再び皆でステージを作り上げていきますが、消えゆくコウイチにとってはこれがラストステージでもあります。
また、これら二幕の一連のストーリーは、コウイチが息を引き取る直前に見たフラッシュ(願望)としての側面もあります。そして、『夜の海』を最後に、コウイチの見ていたフラッシュは終わりを迎えます。
それから3年後、大桜のシーンで、ライバル役が初めてコウイチの墓前に来ることができました。そこでようやく、幻影となり彷徨っていたコウイチは、正装を着ることができました。コウイチはいなくなっても、コウイチが想いを託したカンパニーは、これからも続いていくことでしょう。
Endless SHOCK -Eternal-あらすじ
Eternalは本編から3年後の世界です。
本編はコウイチ視点で描かれるため、カンパニーメンバーの気持ちが語られるシーンはほとんどありませんが、Eternalでは、カンパニー視点から「あの時こう思っていた」と心境が垣間見えるスピンオフ作品となっています。
逆に言うと、Eternalではコウイチが過去を振り返るような場面はほとんどなく、台詞も歌以外は少ない構成となっているため、コウイチの心情は表情や仕草からしか、読み取ることができません。
あのセリフ量の少なさで、それを感じさせないほど、雄弁にコウイチの気持ちを表現する光一さんの演技力、ダンスや歌の表現力には舌を巻くものがあります。ぜひ、この点にも注目してみると、Eternalがより面白くなるかもしれません。
Endless SHOCK -Eternal-の時系列整理

Eternalは、3年後の世界からカンパニーの視点で3年前を振り返るという構成で、セリフの部分は3年後、ショーの部分は3年前というのが基本的な構成となっています。
ただし、屋上のシーンは3年後だったり、独白のシーンはコウイチだけが3年前のセリフを言っていたり、3年前と3年後がクロスオーバーする部分が多々見受けられます。
冒頭のシーン
冒頭、カンパニーの皆は未来に向かって歩き出すという決断をしたのでコウイチの墓前から離れていきますが、コウイチだけがその場に取り残されてしまいます。
Eternal初演の時、「ただでさえ、本編の前半で主人公が死んじゃうストーリーなのに、主人公が死んだ後の世界って、それ主演・堂本光一であってる…?」と思っていましたが、ちゃんとコウイチめちゃくちゃ出てきます。
最後のシーン
最後のシーンでは、カンパニーの皆がコウイチの墓参りに行く準備をしています。このわちゃわちゃ感が未来へ向かって歩き出しているという人間らしさでもあり、妙にリアルです。
一方、歩き出す未来のないコウイチとのコントラストが、それがコウイチの望みだと分かっていても、個人的には辛く感じてしまうシーンでもあります。
Endless SHOCK-Eternal-の演出について詳しく知りたい方はこちら。
Endless SHOCKの設定&裏設定
Endless SHOCKのストーリーがおさらいできたところで、ここからは、Endless SHOCKを理解するために必ず抑えておきたい設定や、これを知ればEndless SHOCKをもっと楽しめる、本編では語られていない裏設定も紹介します。
基本的には、演出家である光一さんのお話を元に進めていきますが、途中、個人的な感想や考察が入りますので、ご容赦ください。
キャスト像
まずは、Endless SHOCKに出演しているキャストの裏設定から抑えておきましょう。この設定を知っているか知らないかで、人物像が大きく変わると思います。
ライバル役については、演じられる方によってライバル像やコウイチとの関係性にかなり変化があるので、ここでは省きます。
孤児
リカはオーナーの娘ですが、リカ以外のカンパニーメンバーは全員、かつてとある劇場のスターだったオーナーが引退して立ち上げたオフ・ブロードウェイの小さな劇場に引き取られた、孤児のような子たちという裏設定があります。
その中でコウイチは長男的存在であり、コウイチにとってのカンパニーは、単にショーを作る仲間というだけではなく、本当の家族のような存在だったんですね。
コウイチ像
光一さんは以前、コウイチについてこのように語られていました。
幼い頃からエンターテインメントの世界の中で育ち、その生き方しか知らず、そこに命を燃やし、生まれるエネルギーを体現している人物として演じています。
Endless SHOCK 20th Anniversary パンフレット
かつては、「コウイチ」という人物を、歌もダンスも芝居もアクションもできるスーパーマンとして描きたかった頃もあったそうです。(今も十分超人的ですが…。)
しかし、時を重ねるにつれて光一さんの中で「コウイチ」という人物の弱い部分を感じるようになったそうで、近年ではそういったコウイチの、ある意味で人間らしさが出てくるように「コウイチ像」も変化してきたと感じています。
リカ像
SHOCKを語る上でコウイチ、ライバル役と並んで重要な人物が「リカ」です。
このリカについて、光一さんは、「自分の年齢が上がったからと言って、リカの年齢も上げればいいという話ではない。リカは少女でなければならない。」のようなことを以前お話されていました。
また、SHOCKの世界で1番成長するのはリカとも語っています。
リカはコウイチが好きなわけですけれども、「何があってもコウイチについていく」と言っていた幼い少女が、最終的には、ライバル役を支えてコウイチ亡き後のカンパニーが未来へ向かって歩き出すきっかけを作るような強い女性へとなっていきます。
これは個人的な解釈ですが、リカだけがオーナーの娘で親がいる存在なんですよね。想像ですけど、どれだけオーナーから愛情を受けていたとしても、孤児のような子たちってやっぱりどこか早熟というか早く大人にならざるを得ない部分がきっとあると思っていて。
多分ちょっと子どもっぽくない子ども時代を送ってきたと思うんですよ。長男的な立場だったコウイチなんかは特に。そういった意味でも、序盤のリカは「ちゃんと子ども」という描き方な感じがしています。
コウイチの死生観
光一さんは以前、コウイチについてこのように語られていました。
コウイチの根底には、自分の命はオーナーに救われたものという考えがあるのかもしれません。だからこそ、その命を燃やしてエンターテインメインとの世界に生きようと思っている。そして、家族のような仲間たちの成功を誰よりも願っている。その成功を手に入れられるのであれば、それを自分の命と引き換えにしてもいい。それくらいの覚悟を持って生きてきました。
Endless SHOCK 20th Anniversary パンフレット
たしかに、コウイチって「SOLITARY」のラストで自分の頭を打つ演出だったり、本身の刀をライバル役に渡したり、後にも書きますが「Japanesque」のことをハッピーエンドと言ったり、どこか自分の命を軽んじているような節があります。
「あいつらにどう思われても構いません。それが皆のためになるなら。」という台詞は、コウイチの心情が最も表れている台詞の1つだと言いますが、その想いは立場の違いによって時に傲慢にも映り、コウイチの覚悟がゆえに悲劇を生んでしまったのも、また事実なんですね…。
一幕の演出意図
オフ・ブロードウェイからオン・ブロードウェイへとスターダムを駆け上がるコウイチとカンパニー。そこには、どんな演出意図が隠されているのでしょうか?1つずつみていきましょう。
飛ぶ車
オフブロードウェイのオーナーの劇場で、コウイチたちカンパニーは派手な演出で人気を獲得していきます。その中の1つに車が空を飛ぶという演出があります。
実際のオフブロードウェイは、もっと舞台も小さくて、車が飛べるようなスペースはなく、本来なら絶対にあり得ない演出だそうですが、大劇場に行くというストーリーの中で、ジャニーさんから言われたという言葉。

YOUなんかが、ただ歌って踊って、行けるワケないじゃない!
ジャニーさん辛辣すぎん?(笑)
しかし光一さんは、「あぁ、なるほどな。そりゃそうだ。」と納得し、現実ではあり得ないことだけれども、それくらい大掛かりなことをやって、大劇場への誘いが来るというストーリーにしたんだそうです。
このシーンはEndless SHOCK初期の頃から変わらない、定番のシーンとなっています。
このエピソードを話し終わった光一さんの「ごもっともですよ。あの人の言うことは。本当に。」という言葉からも、光一さんご自身が演出をされるようになってからも、ジャニーさんからたくさんのアドバイスを受けていたことが伝わりますし、Eternal Producerとしてジャニーさんの名前を掲げ続けているのも、感謝と自戒を感じます。
大劇場への進出をためらうコウイチ
カンパニーの皆でニューヨークへお出かけするシーン。そこで号外が配られ、大劇場からのオファーにカンパニーは浮足立ちます。しかし、コウイチだけは浮かない表情。大劇場への進出をためらいます。
大劇場に進出することをためらうのは、もしそこで失敗したら、全員、舞台人としてのキャリアが終わる恐れがあることを知っているからなんです。
Endless SHOCK 20th Anniversary パンフレット
単にステージのことだけを考えているわけではなく、それは結果的にカンパニーの皆のため、カンパニーの存続、ひいてはカンパニーみんなの生活に直結いているからこそ、長男的立場であるコウイチは慎重になっているのですね。
自分がセンターに立つことで、何百人何千人にも及ぶ演者さんやスタッフさんの生活に直結する、何万何十万人のファンの気持ちに直結するという立場を30年以上続けている光一さんだからこそ、考えすぎてしまうコウイチの気持ちが、痛いくらいに分かってしまうのかもしれません。
「SOLITARY」
本編の劇中劇では、一幕の最後が「SOLITARY」という曲です。1人ずつコウイチの手を離していき、独りになったコウイチが自らの頭を銃で撃ち抜いて終わります。
『SOLITARY』は孤独。皆が1人ずつコウイチから離れていく。コウイチはなぜ一幕の最後にこの曲を選んだのか?
「Endless SHOCK-Eternal-」より
Eternalでもライバル役が、当時のコウイチの心情を推し量る場面があります。
そもそも本編の時点では、模造刀を本身にすり替えるという愚行に走っていたライバル役が、あの時のコウイチの気持ちを推し量るという時点でかなりの成長ですね。
ライバル役がこの視点に立てたのは、3年後のライバル役がコウイチのポジションになりつつあり、あの時のコウイチの気持ちが分かりつつあるからなんですよねぇ…。
そして、ライバル役にわざわざこの台詞を言わせて、オーディエンスの注意を、あの時のコウイチの心情に向けさせるというのは、やっぱりそこに考えさせたいものがあるのかなと感じてしまいます。
この問いに対するヒントの1つとして、Eternalが誕生した2020年に放送された「RIDE ON TIME」の密着取材があります。
「俺は俺でまともなこと言ってますよね?」という上田くんの問いかけに対し、「そうだよ。ある意味コウイチが暴走してるよねって見えるくらいの形にしてた。」と答えていました。
RIDE ON TIMEのレポはこちらです。
あの時、暴走していたのは、ライバル役だったのか、それともコウイチの方なのか。
ライバル役が誰なのかによってコウイチとの関係値も変わってくるし、観る人によっても、この問いに対する答えや見え方は変わってくるでしょう。
本身の刀を渡すコウイチ
「Japanesque」で模造刀を本物にすり替えるという愚行に出たライバル役。それに気づいたコウイチは激昂して、本身の刀をライバル役に渡してしまいます。
かなりトンデモ設定だと思ったのですが、光一さんが言うには、実際に模造刀がすり替えられるという事故や事件は歴史的に起こっているそうで、そこまでトンデモ設定ではないと捉えているようです。
行くと決めたからには絶対に失敗できない。ステージ上で命を燃やす様をお客様に届けなければならない…。
コウイチはカンパニーのためにも、誰よりも強くステージやカンパニーの成功を考えていました。
しかし、模造等を本物にすり替えるという愚行に出たライバル役。コウイチが激怒した理由については、ライバル役が私情を優先し、ステージに対して真摯に向き合っていないからという事が容易に推測できます。
ただ、この場面でのコウイチはただ激怒しただけでは、きっとないですよね。悲しみもあったかもしれないし、失望もあったかもしれないし、とにかくいろんな感情でいっぱいになって感情が振り切れてしまった状態なのだと思います。
だからといって本身の刀をライバル役に渡す必要ある?と、一般ピープルの私は思ってしまうのですが、光一さんが言うには、「ステージに立つ人にしか分からない」「コウイチの心情は理解されづらい」とした上で、「それでいい」としています。
理解されないという役だから、理解されないままでいいということですね。光一さんらしいですけれども…。
光一さんのファンの方であれば、コウイチではなく光一さんを通して、何かに憑りつかれているような感覚を少なからず感じ取ったことのある方が多いのではないかと思うのですが、イメージとしてはあの感じかなぁ…?と個人的には思っています。
だって、普通に考えたら、あんなに階段落ちたり命綱なしでフライングしたり、危ない演出ばっかりで、言葉選ばずに言いますけど、頭おかしいじゃないですか?(あなたの推しだよ?)
まぁ、光一さんが分かんなくていいと仰っている以上、私が何か解釈を加えるのは違うと思うので、このまま進めます。
「Japanesque」
劇中劇一幕の最後に「SOLITARY」を選んだ理由について、コウイチは「この後のJapanesqueがハッピーエンドなんだ」と答えます。本編では、この後、事故が起こってしまうため、コウイチが予定していた本来の「Japanesque」を観ることはできません。
あの武将はおそらく命を落とすが、愛する者の命を守ることができたなら、それはハッピーエンド。コウイチが作った劇中劇ですが、コウイチの生き様が自身の演出に表れているのだそうです。
Endless SHOCK公式Instagramより
光一さんは、以前のインスタライブでも「ハッピーエンドの概念って人によって違うよね。」としながら、たとえ自分が、犠牲になっても姫を助けることができたのならばハッピーエンド説を唱えていました。
あれだけもうボロボロ、打たれたり、切られたりしてる中で、絶対に命は落とすよね。あの武士は。命は落とすけども、その姫を助けることができたという事でハッピーエンドと言っているのではないかと、僕は思いますね。
堂本光一インスタライブ
本来のラストでもあの武将は命を落とすようですが、コウイチ(および光一さん)はそれを「ハッピーエンド」と呼んでいるのですね。
コウイチの生き様が自身の演出に表れているというのは「Japanesque」に限った話ではないのでしょうが、コウイチ自身もカンパニーのために自分の命を犠牲にしてもいいと思っていますから、武将にも自身を重ねているのでしょう。
光一さんのファンとしては、光一さんがコウイチに自身を重ねていないことを祈るばかりです。
まぁ、でも光一さん、昔、剛くん守って死ぬならそれでもいいみたいなこと言ってたから、実質、ナチュラルにコウイチみたいなとこあるよねって、ちょっと思ってるよ。
伏線
Endless SHOCKシリーズは脚本から演出、音楽に至るまで、光一さんが自らの手で作り上げているため、Endless SHOCKの世界には、細やかな演出意図や伏線が張り巡らされています。
全てを把握することは不可能ですが、ここでは知っておくとストーリーの理解に役立つ、主な伏線をご紹介します。
「Don’t Look Back」
劇中で使用される楽曲に「Don’t Look Back」という曲があります。この曲は、よからぬことへの伏線として使われています。
この楽曲のメロディーが使用されているのはシーンは以下の3つ。注目して聞いてみてください。
使用シーン | その後 |
---|---|
カンパニーを大劇場へ送り出すオーナー | コウイチとライバル役の確執 |
劇中劇幕間でコウイチとライバル役が歌うメロディー違いの「Missing Heart」 | 事故 |
悪夢から覚めたライバル役が歌う「Don’t Look Back」 | コウイチの死 |
心音
前述、『Don’t Look Back』の前に、ストリングスの音が長く響いています。このキーが、二幕冒頭でライバル役がコウイチの病室を見上げている時の心停止した音と同じキーとなっており、「心停止」を表現しているとのことです。
ラダーフライング
この天井から吊り下げられたはしごは、コウイチが天に昇っていくようなイメージも込められているそうです。また、この時、ステージ上で太鼓を叩いているのですが、これは、カンパニーの皆が「コウイチには、なんとしてでもこのショーを成功させてほしい」という想いでバックアップしながら見守っているという演出になっているそうです。
巻き戻し
マスクのシーン、扇や振り付けは全て反時計回り。コーラスは逆再生の歌詞で「巻き戻し」を表現しています。残されたカンパニーの皆の、祈りにも近い願いが込められているようです。
余談ですが、ビデオがなくなった昨今「巻き戻し」という言葉は死語になりつつあるそうですが、この場面は「巻き戻し」が合うと思ったので、あえて使っています。
ネックレス
オフ・ブロードウェイでのショーが千秋楽を迎えた後、コウイチはいつも通り屋上でしばし黄昏れ、そこにやってきたリカが「みんなから」と言ってネックレスを渡します。コウイチもアホではないので、これがリカからという事には気付いていますが、あえて触れずにそれを受け取ります。
このネックレスをコウイチは肌身離さず舞台に上がるときも身に着けており、かなり大事にしています。もちろんリカの気持ちに気付いてというのもありますが、それだけじゃないと光一さんは釘を刺していました。
やはり舞台に立つ中で「俺はあいつらにどう思われてもいい」と言いながらも、コウイチだって不安や孤独を感じたでしょうし、そういうコウイチの弱い部分を光一さん自身が年数を重ねるごとに感じていたようです。
コウイチが病院で亡くなった時、リカが看護師さんからこのネックレスを受け取り、幻影コウイチにネックレスを渡します。
「夜の海」まではネックレスをしていますが、大桜のシーンで正装を着たコウイチはネックレスを置いていきました。このネックレスは、コウイチをこの世に繋ぎとめるものでもあったのですね。
二幕の演出意図
事故の後、意識を失うコウイチとバラバラになるカンパニー。そこには、どんな演出意図が隠されているのでしょうか?1つずつみていきましょう。
フラッシュ(願望)
Endless SHOCKの本編はコウイチ視点の物語になっています。一幕の最後でコウイチは意識を失いますから、よくよく考えたら「二幕は誰視点?」という話です。
本編の二幕は、実際に起きていることではなく、コウイチが息を引き取る瞬間に観たできごと、フラッシュ(願望)としてコウイチの「理想」や「申し訳なかった気持ち」を描いているのかもしれないという話をされていました。
一応、「もしかしたらトーク」としてお話しされていましたが、光一さんが話してしまっているので、おそらくそうなのでしょう。
「MUGEN」
表の設定として、この最後のショーはステージ上で命を燃やす様を表現しています。そして、「リボンフライング」は消えゆく命を燃やす様を表現しているそうです。
裏設定として、コウイチはお客さんからは見えているけど、カンパニーの皆からは見えていない存在として描かれています。
過去に制作されたアナザーストーリーでは、コウイチとライバル役が手を引きあう振りつけで、ライバル役だけがステージに立っているというシーンがありました。
Eternalでの「最後のステージ、あの時コウイチもいたよね。」という台詞により、この裏設定がほぼ表設定になっています。
つまり、自分抜きでカンパニーの皆がステージ上で命を燃やしていることがコウイチが死ぬ間際に見た願望ということになります。なんか切ないですよね…。でもそれがコウイチの望みなんですもんね…。
そんで、コウイチ本当は見えてないんだぜ…。あんなに皆と一緒に一生懸命踊ってるのに、あれ、本当は見えてないんだぜ…。それを多分、幻影コウイチも分かってるじゃんか…。健気すぎん?見えないのに一生懸命に踊っているコウイチが、益々愛おしくなっていきます。
ちなみに「MUGEN」は漢字で書くと「夢幻」です。本当に夢や幻なんですよね…。たしかに、コウイチだけが白の衣装で、コウイチだけが立って終わってるんですよね。コウイチがカンパニーの皆とは違う世界にいる存在だということを思い知らされるようです。
空白の3年間
本編ラストの大桜のシーンで、コウイチは「何か」を掴みます。時間軸で言うと大桜のシーンは3年後。ライバル役がコウイチの墓前に行けたことで、ようやく正装(白い服)を着れたという設定です。
逆に言うと、この3年間、コウイチは正装を着れないまま、さまよっていたということで…。
Eternalが制作されたことによって、コウイチ以外のカンパニーの皆は、ライバル役を中心に、オーナーの劇場でやってきたという3年間が見えてきました。しかし、コウイチの3年間については、Eternalでもほぼ描かれていません。
何があったのかと考えてしまいます…。やっぱり皆と一緒に踊ってたのかな?でも、カンパニーの皆からは見えていないわけだから、Eternalの屋上のシーンみたいに、そばにいるのに届かない言葉を投げかけたり、Eternalの「Higher」みたいに、1人でステージに取り残されちゃってたりしたのかな?
って考えると、なんかすっごく寂しいっていうか、悲しいというか、辛い思いしてないかな?って、過保護爆発しそうなんです。光一さんのオタク的に。
もちろん、カンパニーの皆のことを見守っていて、成長を見て嬉しかったり、公演が成功して安心したりもしていたと思うんです。(あ、今、120%妄想の話をしています。)
でもさ、考えちゃうよねぇ…。オタクだし。オタク、役であっても、推しに辛い思いしてほしくないし。たとえ役であっても、推しに死んでほしくないし。(過保護爆発中)
Endless SHOCKと「夜の海」
2020年5月インスタライブでの光一さん。
ストーリーとリンクさせてあの歌詞を聴いてる人、あんまりいないと思うんですよね。まぁ、いいんですけど。
えっ、拗ねてる…?かわいい…ッ!(黙れ)
そんで、私、「いやいやいや。『夜の海』大好きやし。サントラも買ったし、よく聴いてるし、歌詞も全部分かるし、なんなら歌えるし」と思って。
ちょっと改めて歌詞を振り返ってみました。
『夜の海』は、最後のショーのエンディングという設定で、コウイチのフラッシュはこの曲で終わります。
闇につつまれた海 その先を見つめて 波際をただ一人 ゆっくりと歩いている
「夜の海」歌詞
いろんな捉え方があると思うんですけど、私は本編のストーリーにこの曲を重ねた時に、もう、彷徨ってるコウイチにしか見えなくなってしまいました…。
いや、3年って長いよ?しかも1人よ?ずっとカンパニーのそばで、見守ってたんだよ?1000回以上も、コウイチはこんな夜を過ごしていたのかもっていう…。ねぇ、もう、辛いんだけど…。
そっと風が問いかける He whispered softly in my ears… Tell me what you are searching for
「夜の海」歌詞
風がコウイチに問いかける。「何を探しているの?」コウイチはずっと「何か」を探してさまよっているんですね。
おそらく、その「何か」っていうのは、「Japanesque」の最後、階段から落ちて天に向かって手を伸ばして、何も掴めずに意識を失う、あの時に掴めなかった「何か」なんでしょうね。
誰かを傷つける時もあった You’ll never know when my heart breaks
「夜の海」歌詞
この部分、コウイチの懺悔かと思っていて、もちろん「申し訳なかった」とかそういう気持ちもあるとは思うんですけど、「私の心がいつ壊れるかあなたには決して分からない」これ、個人的にはコウイチの心も壊れてたのかなぁ…あの時…って感じになりました。
今は涙見せてもかまわない You’ll never show me your heart
「夜の海」歌詞
ここの歌詞、ずっと腑に落ちなかったんですよ。いや、カンパニーの皆に向けて言ってるのは分かるんですけど、コウイチらしくないというか。ちょっと釈然としない感じがありました。
でも、SHOCKのストーリーをリンクさせて、1番の歌詞を踏まえたら、ライバルとかカンパニーメンバーとちゃんと向き合えてなかったぁとか、もう自分死んでるから先のことは見ようもないんだよなぁとか。
カンパニーの皆へのメッセージと同時に、消えゆくコウイチ自身への慰めというか回顧というか、なんかそういう雰囲気も感じます。
瞳を閉じて闇に手を伸ばす
「夜の海」歌詞
- 階段から落ち何も掴めずに意識を失うコウイチ
- 大桜のシーンで何かを掴んだコウイチ
が想起されるフレーズですね。
この他にも、Endless SHOCKの世界ではコウイチが手を伸ばすシーンや振り付けが度々登場します。この動作に注目してみるのも面白いかもしれません。
But I will say GOOD-BYE to yesterday…and me
「夜の海」歌詞
今まで『夜の海』で繰り返される「昨日の自分に別れを告げて I will say GOOD-BYE to yesterday」という歌詞のこと、結構前向きなフレーズだと思ってたんですよ。
新しい自分に生まれ変わろう的な、きっとコウイチもカンパニーの皆にもそうしてほしいっていうエールなのかなって。
もちろん、それもあるとは思うんですけど、よくよく考えたら最後の最後で「and me」…?「and me」!?
いや、待って。そっか。当たり前なんだけど、幻影となったコウイチにとって、明日はないわけで、昨日に別れを告げたらいなくなっちゃうんですよね。
だから「and me」。ただのgood-byじゃないから大文字の「GOOD-BYE」だったのか…。そっか…。

いや、ちょっと待って!やっぱサヨナラせんとこ?ねぇ、もうちょっと一緒にいよう?無理ムリ悲しい。無理。もっとコウイチといたいよ、私…。(一旦、黙ろ?)
まとめ
Endless SHOCKについてまとめると、以下の通りです。
- 本編は、大劇場に挑戦するカンパニーを見守りながら、「走り続ける意味」を考え、未来へ進むためのストーリー。
- Eternalは、本編をカンパニー視点で振り返るスピンオフ。
- Endless SHOCKには、隠された伏線や演出意図が盛りだくさん!知っているともっと楽しめる!
おそらくファンでもない方が書かれたしょうもないネット記事に、「初心者は本編から見るべき!」みたいなことが書かれていましたが、ファンからすれば別にどっちから見てもいいです。
たしかに、Endless SHOCKは複雑な構成で、1度の観劇で全てを理解しながら見ることは不可能です。
しかしそれは本編もEternalも同じことです。
また、ファンの方であれば、回数を重ねるごとに「Eternal」が、スピンオフと呼ぶにはあまりに完成度の高い作品に仕上がっていることを理解していると思います。
なので、自信をもって、「Eternal単体でも楽しめるようになっている」と言えます。
より理解したいと考えている方は、事前情報を入れておくのが吉かと思いますが、この記事を、ここまで読んでくださった方であれば、確実に100%楽しめるので、そのような記事に惑わされず、思いっきり楽しんできてくださいね!
最後に
とはいえ、何も難しいことを考える必要もなければ、ここに書いてあることが正しいわけでもなくて、「Everything is in your imagination」これが全てです。
SHOCK観て、「走り続ける意味は何ですか?」と問われて、その時々で、その人その人にいろんな感情があると思うんですけど、それも含めてSHOCKという作品なので、多くの人に楽しんでもらいたいなぁと、いちオタクとしては思っています。
FC枠が2年連続で全滅してちょっと心が折れていますが、観劇される誰かのお役に立てれば幸いです。一般でチケット確保できました…!

今年もSHOCKが観られる…うぅ”…よかたあああぁ…。ダイエットとオシャレ頑張ります!
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